THIS IS BOSSA NOVA ・2007年8月4日公開・
『THIS IS BOSSA NOVA』は、1950年代後半にブラジルで誕生し、現在では世界中で愛されている音楽―ボサノヴァの物語である。
ボサノヴァは、それまでのブラジルのポピュラー音楽に見られていたハーモニーとビートを革命的なまでに変えた。そしてその美しいメロディと斬新かつロマンチックな歌詞で、“愛と微笑みと花”に満ちた輝ける時代を瑞々しく歌い上げてみせた。こうして、リオデジャネイロの若者たちから生み出された新しい潮流―ボサノヴァは、以降のブラジルのポピュラー音楽を根本的に変えることになったのである。そしてその潮流はやがて大きな波となり、62年にニューヨークのカーネギーホールで開催された『ゲッツ/ジルベルト』の大ヒットによって、国際的にも認知されるようになった。そしてその色褪せることのない永遠性から、生誕50年を経た今も、世界中で評価され続けているのである。
このムーヴメントの偉大な二人の現役作曲家である、カルロス・リラ(時代を超えた名曲「ロボ・ボボ」「もっとも美しいもの」「あなたと私」の作者)とホベルト・メネスカル(定番曲「小船」)によって物語を語られていく。この二人が、ボサノヴァが誕生したゆかりの地を再訪し、彼らがキャリアをスタートした頃のとっておきのエピソードやストーリーを披露する。長年の友人でもある彼らの会話は、あの忘れがたき時代をまざまざと再現してくれる。
『THIS IS BOSSA NOVA』には、カルロス・リラ、ホベルト・メネスカル、ジョアン・ドナード、アライヂ・コスタ、ジョニー・アルフ、レニー・アンドラーヂ、クリス・デラーノ、ジョイス、セルジオ・ヒカルド、ビリー・ブランコなど、世代を超えたボサノヴァのミュージシャン、作曲家、パフォーマーたちのインタヴューや独占ライヴ映像も満載されている。さらに、黄金時代のムーヴメントに参加したブラジル人ミュージシャンと国際的アーティストたちによる、貴重な独占アーカイヴ映像も多数含まれる。
映画は、ボサノヴァのリズム、歌詞、ハーモニー、ビート、とそれぞれのパートに分けられている。セルジオ・カブラルやタリキ・ヂ・ソウザ、アルトゥール・ダ・タヴォラ、ミエリやネルソン・モッタなど、ボサノヴァ文化に詳しい作家や評論家たちによって分析や解説がくり広げられてゆく。
ボサノヴァのマエストロであるアントニオ・カルロス・ジョビン(通称「トム」)とヴィニシウス・ヂ・モライスによって結成された作曲家コンビに、特別な賛辞が贈られる。
またボサノヴァのミューズ(女神)であるナラ・レオンには、映像、写真、録音物、アーカイヴ素材で、敬意を示している。
この映画は、決してたんなる知識の羅列なのではない。ざっくばらんにのびのびと描かれた、すぐれた音楽と美しい映像によるエンタテインメントを堪能できる2時間であり、また、ブラジルの文化的な最高傑作ともいえるボサノヴァ―世界中の人の耳とハートを虜にした音楽―の魅力をあますところなく伝えてくれる、きわめて貴重なドキュメンタリーである。
監督・脚本:パウロ・チアゴ
制作・グラウシア・カマルゴス
エグゼクティヴ・プロデューサー:ペドロ・アントニオ・パエス
出演:カルロス・リラ ホベルト・メネスカル ジョアン・ジルベルト アントニオ・カルロス・ジョビン フランク・シナトラ ジョイス ワンダ・サー ジョアン・ドナード イコ・カトロス・ネヴィス ジョニー・アルフ