厨房で逢いましょう ・2007年8月25日公開・
ちょっと変わり者だが超一流の腕前を持つ天才シェフ、グレゴア。彼は南ドイツの保養地で小さなレストランを営んでいる。舌の肥えた食通たちにも一目置かれる“官能料理”ことエロティック・キュイジーヌが店の看板だメニューだ。彼は休憩時間に訪れるカフェで、ウエイトレスのエデンと知り合った。エデンは夫クサヴァー、レオニーというダウン症の娘とともにこの町に住んでいる。
公演の池に落ちてしまったレオニーをグレゴアが助けたことがきっかけで、グレゴアはレオニーの5歳の誕生日に手作りのプラリネをのせたチョコレート・ケーキをプレゼントする。プラリネを一口食べたエデンは呆然となり、一瞬にしてその味のとりこになってしまう。「まるで楽園にいるような味……」
ある夜、グレゴアがひとり厨房で料理の試作をしていると、突然エデンがやってくる。グレゴアの料理が食べたいというエデンに苛立ちながらも料理を供してやるグレゴア。一皿をぺろりと平らげてしまったエデンは、グレゴアが席を外した隙に猛烈な勢いで鍋ごと食べつくし、こっそりと厨房を出て行ってしまう。翌日カフェを訪れたグレゴアはエデンの絶賛を聞いて喜びを感じるのだった。二人は親しくなり、エデンは夫が仲間たちと出かける毎週火曜日に、レオニーと共にグレゴアの厨房を訪ねるようになった。グレゴアもまた、エデンとの会話と、彼女に料理を食べさせることが楽しみになっていた。
グレゴアは、エデンをもっともっと喜ばせてあげたいという思いからこれまでよりさらに美味しい料理を生み出し、客達を圧倒してゆく。厨房にエデンの写真をこっそりと飾り、それを見ながら料理を作るグレゴア。彼の作るエロティック・キュイジーヌを味わうようになったエデンもまた、心身ともに充実した日々を過ごし夫との愛を深めてゆく。
ある日、夫クサヴァ―の友人たちはグレゴアとエデンの密会をクサヴァ―に告げ口する。グレゴアを知るためにレストランを訪れたクサヴァ―もまたエロティック・キュイジーヌに魅了されるのだった。エデンの心をグレゴアから引き離すため、クサヴァ―は家族をパリ旅行に連れ出す。ミューズを奪われたグレゴアはすっかり意気消沈、料理の味も衰えてしまう。そんなグレゴアを聲亜の給仕者ルートヴィヒは冷たい視線を浴びせ批判する。
ある日、エデンは妊娠したことに気づく。レオニーの誕生以降、ずっと望んでいた待望の第二子……。大喜びのエデンとクサヴァ―だったが、クサヴァ―の友人たちはお腹の子の父親はグレゴアではないかと陰口を叩きあう。それを偶然耳にしたクサヴァ―は仲間たちと大喧嘩。怒りが収まらないクサヴァ―は、グレゴアのレストランに忍び込み、セラーのなかのワインを全て粉々にしてしまうのだった。ワインセラーは最も価値ある財産だったため、銀行に融資を打ち切られたグレゴアは、店をたたまなくてはならなくなった。グレゴアはエデンには何も言わず町を去る決心をするのだが…。
監督・脚本:ミヒャエル・ホーフマン
出演:ヨーゼフ・オステンドルフ シャルロット・ロシュ デーヴィト・シュトリーゾフ マックス・リュートリンガー