象の背中 ・2007年10月27日公開・
妻と2人の子供、幸せな家族4人。会社での地位も得て、順風満帆に暮らす48歳の中堅不動産会社部長・藤山幸弘(役所広司)は、今まさに人生の“円熟期”を迎えていた。だが、ある日突然、末期の肺がんと宣告される。
余命半年という医師の言葉に戸惑いながらも、藤山が選択したものは、延命治療ではなく、人生を全うすることだった。残りの人生が僅かなら、死ぬまで有意義に生きていたい・・・それは「死」を覚悟するという意味ではなく、「生」への執着。彼は残された時間に、今まで出会った大切な人達と直接会って、自分なりの別れを告げようと決意する。思いを伝えられなかった初恋の相手(手塚理美)、些細なことで喧嘩別れした高校時代の親友(高橋克実)、絶縁していた実兄(岸部一徳)・・・・・・言い残したことのある人達と再会し、自分が生きてきた時間を噛みしめる藤山。だが、妻・美和子(今井美樹)には、病気のことを話せないでいた。何と伝えればよいのか−−23年間ともに生きてきた妻だからこそ、話せないことは他にもあった。
家族には、大学生の息子・俊介(塩谷瞬)にだけ事実を話し、母親の美和子と妹・はるか(南沢奈央)を支えるように伝えてあった。だが、彼が会社で倒れたことをきっかけに、その病名は医師から妻へと知らされる。夫が事実を隠していたことにショックを受ける美和子。なぜ延命治療を受けないのかと問う彼女に、藤山は未来ではなく今現在を生きていたいと語る。美和子は思い悩んだ末、そんな夫のすべてを受け入れようと決意する。
会社も辞め、妻や子供たちとともに「今」を生きる藤山。そして、夫婦としてあらためて妻と向き合う中、彼は当たり前に過ごしてきた日常が、どれほど幸せなものであったのかを実感し、夫婦でいることの意味を知る。そして二人にとっての「今」が、忘れ得ない、かけがえのない時間となっていく−−。
監督:井坂聡
脚本:遠藤察男
原作:秋本康
出演:役所広司/今井美樹/塩谷瞬/南沢奈央/井川遥/高橋克実/白井晃/小市慢太郎/久遠さやか/益岡徹/手塚理美/笹野高史/伊武雅刀/岸辺一徳