映画ブロイラー

6月 10, 2007

レベル・サーティーン  ・2007年6月9日公開・

Filed under: 単館系, 洋画, 公開中 — kuro @ 3:08 pm

破滅する男を選び指名する謎の電話
  バンコクの楽器会社に勤めるセールスマン、プチットは、友人の伝を頼りに食い込もうとしていた中学校の仕事を同僚に奪われ、その上突然会社を解雇されてしまう。一方、故郷の母親からは借金の無心が引きもきらず、クレジットカードは限度額いっぱい。車のローンさえ滞納する彼は破産の寸前だった。
 思わず会社の非常階段に座り込み、頭を抱え己の不幸を呪うプチット。仲のいい同僚のトンが彼を慰めようとするが、その言葉も耳に入らない。その時、彼の携帯電話が甲高い警報のような着信音を鳴らす。
 「おめでとうございます。幸運にもあなたはゲームの参加者に選ばれました。これから13のゲームをクリアすると、最大3億円の賞金を獲得できます。挑戦しますか?」
電話の主はからかうような声で祝福した。
 プチットは、友人のいたずらかとためらいながら、‘YES’と答え、次の言葉に耳を疑う。
 「あなたの目の前に蝿が留まってますね。足元には雑誌が落ちている。その雑誌でうまく蝿を叩き落してください。さあ、ゲームの始まりですよ」
 
試される13の人間性
 半信半疑のまま、蝿を叩き落したプチットの携帯電話に、すぐに銀行口座の入金メールと次の指令が掛かってくる。残す12のゲームをクリアすれば彼は破産から救われる。しかし、ここで引き返せば、彼は悪夢を見なくてもすむ。

 プチットは次のゲームの中身も知らされぬまま、一つクリアするごとに掛かってくる指令によって、バンコクの雑踏を彷徨い、事件を引き起こしてゆく。幼稚園で子供を襲ったと保母に訴えられ、バスでの乗客との大喧嘩をきっかけに警察に追われる身となる。
 一方、彼の引き起こした事件をテレビの報道で知ったトンは、ネットでその事件を調べるうちに、‘13’という不気味な数字が躍る会員制のサイトに行き着く。そして、そこで彼女が見たものは、リアルタイムに中継されているゲームに挑む彼の姿だった。液晶の画面に、男を椅子で叩きつけるプチットの姿が映っている。そこには、あの生真面目で優しい彼の姿は失われかけている。
 そう、このゲームはインターネットの会員制秘密サイトによって運営され、大都会バンコクの隅々に協力者と隠しカメラが用意されている。パスワードを持つ会員のみがアクセスし、選ばれた人を操り、競わせるリアルゲームを楽しんでいるのだ。闇のサイトはトンにその内幕を一度だけ見せると、後は煙のごとく消えてしまう。まるで、彼女までもがこのゲームの参加資格を持つのだと、誘い込むように。
 トンと同様に、プチットも自分が誰かに監視され、現実の街をステージにした戦いに深入りしていることに気づく。今や、バンコクの街路を歩く人、廃屋、バス、ライブハウスの椅子・・・・・・それらすべてがゲームの一部だ。一つの試練が終結するとともに、彼に届けられる甲高い警報音と次の指令。老婆を誘拐し、田舎の農道にワイヤーを張って、暴走族の青年たちを壊滅させ、牛を鉈で殺し、その生肉を食べるように、さわやかに問いかける謎の管理人。
 しかし、重圧を増しエスカレートしてゆくゲームと膨大に積み上がってゆく賞金の狭間で、彼の人間性は境界線を失ってゆく。
 そして、森の奥にひっそりと建てられた白い建物で最後にプチットを待つ‘13’番目のゲームと3億円の賞金。彼が最奥の部屋に辿りつくと、突然、暗闇の中、壁のモニターにここまで彼がクリアしてきた12のゲームの光景と彼の幼年時代が映し出される。それは祝福。呆然と見つめるプチット。そして、映像が終わると、中央の青白く光る円形の舞台の上に、顔に袋を被せたまま、椅子に座る白衣の男が浮かぶ。
 その時、トンもその場に駆けつけるが、彼女はプチットを見つける前に、サイトの主催者たちに拉致され、別室でそのゲームを見届けさせられることになる。
 彼女の目の前で繰り広げられる悪夢―それこそが、プチットにとっての究極のゲームだった。

ライアーゲームのような物語か?と思い、嘘つきが主役になれる物語を求めて劇場へ向かった。しかし、目にしたのは「嘘」のスケールの違い。それは、1億円と3億円という金額の違いからくるものではなく、本当の心理を隠すためには、そして見抜くには、小手先の嘘は通用せず、嘘の為に人は命を賭けられるという事。ライアーゲームが好きな方は必見である。(B)

監督・脚本:マシュー・チューキアット・サックヴィーラクル
原作・脚本:エカシット・タイラット
出演:クリサダ・スコソル アチタ・シカマナ サルンヨー・ウォングックラチャン 他

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