藝州かやぶき紀行 ・2008年05月31日公開・
自然の草木だけを使い、人類が太古から暮らしてきた住まい、茅葺き民家。茅(カヤ)とは、ススキ、チガヤ、イネ、ムギなどイネ科植物、草屋根材料の総称を言う。
広島県東広島市の西中国茅葺き保存研究会・上田進さんが、広島県の山間地から瀬戸内海まで幅広い領域の茅葺き民家を案内してくれる。夏は涼しく冬は暖かい、どこか郷愁すら感じさせる茅葺き民家。かつては都市周辺ですら軒をつらね、各集落には、茅葺き職人が多数いて、村人共同で屋根を守ってきた。
また、広島では明治時代後期から昭和30年代までに、茅葺き職人が、関西、山口県、北九州などに大量に出稼ぎにいき「芸州屋根屋」という名を広め隆盛を極めたいわれている。
しかし近年、茅葺き民家は、急激に消滅の途をたどり、現在、県内には、人が実際に暮らす茅葺き民家はわずか二百棟、茅葺き職人は数人。農山漁村の人口激減と高齢化、宅地造成化、ダム開発による集団離村…。非情なまでの時代の流れによって、いまや風前の灯火となった。
映画では東広島市志和堀唯一の茅葺き職人・石井元春さんが行う茅刈り、茅ヘギ、茅葺き、ハサミ入れなど屋根葺き替え作業の全工程を主軸に、その他県内各地の職人や生活者の証言を綴り「芸州屋根葺き技術」の全体像をさぐり、京都や北九州など芸州屋根屋の出稼ぎの痕跡も広範囲に訪ねその実像に迫っていく。そこに浮かび上がってくる農村で育まれた人の営みの広大なひろがり。
忘れられてゆく茅葺き民家、その未来への願いとは!
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撮影・構成・語り:青原さとし
撮影:斉藤博文/加藤浩明/川上昌平/永金春充
照明:ウィット
制作:細川尚史
プロデューサー:明比竜次
朗読:高尾六平
出演:奥田鹿栄/沖田忠志/吉政頼人/藤原信雄/平元行信/ほか