ピアノの森 ・2007年7月21日・
ピアニストを目指す雨宮修平は小学5年生。夏の終わり、とある田舎町へ転校した修平は、ガキ大将“キンピラ”に目をつけられる。“壊れているのに何故か夜になると音がする”森の中の不思議なピアノを弾いて来いというのだ。その修平を救ったのは、同級生の一ノ瀬 海(カイ)。「あのピアノは音が出るんだ!」と言い張る海とキンピラは大ゲンカになるが、音楽教師・阿字野壮介の登場で退散。残された修平は、阿字野に“壊れたピアノ”の事を聞くが、「あれはウソだ」と言われる。
放課後、海は修平をその“ピアノの森”へ誘う。薄暗く大きなその森で修平が見たのは、美しい木漏れ日に照らされる一台のグランドピアノ。修平は鍵盤を叩いてみるが、全く音が出ない。不思議なことに、海が叩くと何故か音が出るのだ。自由奔放に裸足のままピアノを弾く海。しかもその音は強烈に修平をひきつけ、激しく心を揺り動かす。だが、海は一度もピアノを習った事がないと言う。なぜ修平には弾く事のできない“森のピアノ”を海には弾けるのか?――修平は海を自宅に招いてピアノを弾かせるが、海の弾き方はとんでもないものだった。そして二人は、会話を聞いた修平の母から、阿字野はかつて優秀なピアニストだったが事故で引退した事を知らされる。
翌日、修平の母は阿字野に、修平のピアノ教師を依頼する。「もう、かつての自分ではない」と、それを断る阿字野。そんな阿字野に修平は、海が森のピアノを弾ける事とその音色の素晴らしさを伝える。その夜、森へ入った阿字野はピアノを弾く海に出会った。海の紡ぎ出す旋律に思わず涙を流し、「一緒にピアノをやらないか?」と尋ねる阿字野。だが、母の勤める店の辛い手伝いを抜け出し、楽しくピアノを弾いていた事を邪魔された海は猛反発して帰ってしまう。
修平の家を再び訪ねた海は、モーツァルトの《K310》を聞かせてもらう。阿字野の事を修平に語る海。「本格的にピアノを習うチャンスだよ」と言う修平だが、海には全くその気がない。「習い事をする金がないんだ」と言われ、押し黙る修平。海は「モーツァルトは覚えたからいいや」と修平の家を出る。しかし興奮さめやらぬその足で学校の音楽室へ寄り、阿字野から様々な曲を聞かされる。爛々と輝いていく海の瞳!―海は阿字野が弾いた曲を全て覚え、森のピアノを弾く。しかし、ショパンの、《子犬のワルツ》だけ弾く事ができない。他の曲は弾けるのに…と混乱する海。ついに海は阿字野に「ショパンを教えてくれ!!」と叫ぶ。その事を知った修平は海を応援しつつも、複雑な気持ちに…。
単調な音階のレッスンを続ける海は不満で爆発しそうになるが、ふと“ピアノの森”の情景を思い浮かべて“自分の音”を見つけ出す。ついに《子犬のワルツ》を弾く事ができた海は、「今度は自分が阿字野の望みを叶える」と言う。その阿字野の望みは、修平も出場するピアノコンサートへ海の出る事だった。課題曲はモーツァルトの《K310》。そして、修平が海の家を訪ねた事がきっかけに再び心を通わせた二人は、お互いにベストを尽くすべく練習に励む。だが海は、聴かされた“阿字野の音”に心を乱され、自分のピアノを弾く事ができない。そして、そのままコンクールを迎える。
くすぶった気持ちの海はコンクール会場で丸山誉子(タカコ)という少女に出会う。ピアノストの息子である修平が優勝するに決まっていると語る誉子に、「雨宮が優勝するのは雨宮の実力だ!」と一括する海。その後、落ち着かないままホールをうろつく海が見たのは、階段脇でこっそり泣いている誉子の姿だった。“極端な上がり性”なのだと語る誉子に語りかけ落ち着かせる海。その不思議な雰囲気に心を許し、誉子は落ち着きを取り戻し始める…。修平と誉子が演奏を終え、ついにやってきた海の出番。果たして海は、“自分のピアノ”を弾く事ができるのだろうか!?―
原作:一色まこと
監督:小島正幸
脚本:蓬莱竜太
キャラクターデザイン・作画監督:藤田しげる
演出:鶴岡耕次郎 小山田桂子
撮影監督:石黒瑠美
音響監督:藤山房伸
美術監督:水谷利春
色彩設計:山本智子
サウンドデザイナー:小山高松
アニメーション制作:マッドハウス
声の出演:上戸彩 神木隆之介 池脇千鶴 福田麻由子 宮迫博之(雨上がり決死隊)
田中敦子 松本梨香 田中真弓 キャイーン 黒沢かずこ(森山中) 高田純次