トランシルヴァニア ・2007年8月11日公開・
愛するほどに傷ついて、傷つくほどに愛を求めて―――
森の彼方の国で出逢った、女と男の魂に突き刺さる物語
突然、姿を消した恋人ミランを見つけるため、ジンガリナ(アーシア・アルジェント)は親友のマリー(アミラ・カサール)と共にミランの故郷トランシルヴァニアへと旅立つ。ミランの実家にたどり着くが、家族は引越した後だった。悲しみにくれるジンガリナを音楽が勇気づける。ミランがミュージシャンだったため、ロマの楽士たちにミランを知らないか尋ね、ついにジンガリナはミランを見つけ出す。しかし、ミランには、もはや愛情のかけらさえ無かった。
絶望に打ちひしがれるジンガリナ。彼女はミランの子を身ごもっていたのだ。
祭りの喧騒の中、泣き叫ぶジンガリナをマリーが大声を出して呼ぶ。マリーはジンガリナが心配でならない。彼女のことを愛しているのだ。だが、ジンガリナはこの異国の地で何かを見つけ再生することを求め、マリーと決別する。
荒涼とした大地をジンガリナとジプシーの少女バンダナが歩いている。傷ついたジンガリナをバンダナが慰める。そんな二人をチャンガロ(ビロル・ユーネル)が見つけ声をかける。しばらくして、バンダナは追いかけるジンガリナを残し去って行った。
チャンガロとジンガリナ、二人の旅が始まる。
体の中に悪魔がいると思い込んでいるジンガリナにチャンガロは悪魔払いの儀式を手配する。白い衣裳を身にまといジンガリナの頭の上からミルクがかけられ、身も心も清められた。二人で暮らしていても何も過去を話さないジンガリナに、チャンガロは時に挑発しケンカもするが、彼女をいつも見守っている。
雪の大草原を車を走らせている時、ジンガリナが産気づいた。あたりには人の気配もなく、チャンガロは必死に助けを求め続けると馬車を走らす村人に出会えた。親切な村の女たちがジンガリナの出産を手伝いに来た。だが、不安と恐怖からジンガリナは泣き叫びチャンガロに助けを求める。
無事、出産を終えたジンガリナと生まれたての赤ん坊がいる部屋にどうしてか入れないチャンガロ。ジンガリナは車で去っていくチャンガロを窓辺でだまって見つめていた。
チャンガロは自らのために楽士たちに演奏を頼み、音楽と酒に身を浸す。彼の様子は、迷いと苦しみに満ち、途方もなく切ない。楽士たちは、ついにいたたまれなくなり「音楽は生きるための力だ。苦しむためじゃない」と言い、チャンガロを残し去って行く。
小さな酒場で飲み続けるチャンガロは、ついに何かを決心したように、ジンガリナと赤ん坊がいる部屋に戻るとそこにはもはや彼女はいなかった。随分と長い間、チャンガロは留守にしていたのだ。
ある日、チャンガロはジンガリナを見つけた。赤ん坊と眠る彼女はまるで聖母マリアのようだ。
監督・脚本・音楽:トニー・ガトリフ
撮影:セリーヌ・ボゾン
編集:モニック・ダルトンヌ
音楽:トニー・ガトリフ、デルフィーヌ・マントゥレ
配給:日本スカイウェイ
出演:アーシア・アルジェント アミラ・カサール ビロル・ユーネル